「いきもの大図鑑」は、バンダイのガシャポンが展開する生き物フィギュアシリーズだ。1回500円という、ガチャとしては高めの価格設定にもかかわらず、発売のたびに話題になり、売り切れが続出する。理由は単純で、この価格でしか実現できない造形と可動があるからだ。

そしてこのシリーズ、実は「だんごむし」という名前から始まっている。今回はその歴史から現行の全ラインナップまで、いきもの大図鑑のすべてを整理した。

📊 これまでに発売された商品数
295
点(バンダイ公式オンラインストア掲載数)
※ 2026年7月時点。ライン・カラーバリエーション含む

「だんごむし」から「いきもの大図鑑」へ

 
シリーズ始動時
シリーズ名は「だんごむし」だった

ラインナップはほぼダンゴムシのみ。丸まる・伸びるという可動を、カプセルトイで完全再現するという一点に振り切った商品だった。この時点で「1回500円」という強気の価格設定がすでに存在している。

 
2019年12月
カメシリーズ第1弾で転換点を迎える

リクガメ2種が発売され、ダンゴムシ以外の生き物が本格参入。ここからシリーズ名が現在の「いきもの大図鑑」へと改称された。1種類の虫を極めるシリーズから、あらゆる生き物を扱う図鑑へ——コンセプトの拡張が起きた瞬間だ。

 
2022年8月
「アドバンス」誕生——可動を捨てるという選択

ディスプレイモデルに特化した上位ライン「アドバンス」が登場。いきもの大図鑑の売りの一つであった可動を捨てた代わりに、造形や彩色がより本物の生き物に近いものになった。サイズも大幅アップ。可動か、造形か——という二択を、シリーズ内で両立させる構造ができた。

 
2026年4月
「レプティクス」誕生——DX進化系

デフォルメ版「レプティ」シリーズがサイズアップ・可動大幅強化されて「レプティクス」に進化。恐竜シリーズは全4種、サイズ約110〜140mm、価格1,500円という、もはやガチャの枠を超えた仕様で登場した。

現行ライン、全6種類を解説

いきもの大図鑑は今や複数のラインに枝分かれしている。それぞれ狙いも価格も違うので、整理しておくと選びやすい。

🪲 本流
いきもの大図鑑(スタンダード)
500円

シリーズの中核。生物をリアルに再現したスケール可動フィギュアで、部位によって異なるプラスチック素材を使用することで、見た目だけでなく感触や硬さまでしっかり再現されているのが最大の特徴。カブトムシ、クワガタ、セミ、水生昆虫、カメ、カエルなど、扱う生き物の幅は非常に広い。

代表作:かぶとむしシリーズ(11弾まで) / クワガタシリーズ / 水生昆虫シリーズ / だんごむし
🔬 上位
いきもの大図鑑アドバンス
1,500円

可動を犠牲にして造形・彩色・サイズを極限まで追求したディスプレイ特化ライン。2022年8月スタート。ディスプレイスタンドや樹皮台座がセットになった商品も展開されており、「飾る」ことを前提に設計されている。

最新:水生昆虫02 ゲンゴロウ(2026年7月・1,500円) / タマムシとウグイスコガネ / セミ02 アブラゼミ / カブトムシ04
👑 最上位
いきもの大図鑑プレミアム
高価格帯

特別なカラーバリエーションや特殊仕様を展開する最上位ライン。マンディブラリスフタマタクワガタのブラック/レッドカラー、ヤシガニのパープルカラーなど、実在する個体差や色彩変異を再現したり、コレクター向けの特別仕様を提供したりする。

展開例:マンディブラリスフタマタクワガタ(ブラック/レッド) / ヤシガニ(パープルカラー)
🦎 デフォルメ
いきもの大図鑑レプティ/レプティクス
レプティ 500円 / レプティクス 1,500円

爬虫類・恐竜をかわいくデフォルメしたライン。リアル路線一辺倒だったシリーズに「かわいさ」の軸を持ち込んだ。2026年4月には上位版「レプティクス」が誕生し、ティラノサウルスは全長約140mmのビッグサイズ、首・脚・顎など全身が可動する仕様に進化した。

展開例:レプティクス 恐竜(全4種・約110〜140mm) / レプティ SELECTED EDITION(レオパ・ニシアフ・クレス・アルマジロトカゲ)
🧸 ソフビ
いきもの大図鑑ソフビコレクション
500円〜

「いきもの大図鑑に新たにソフビコレクションが登場!第一弾はかわいくディフォルメしたレオパとクレスをとっても大きなサイズにしてお届け」——プラスチックではなくソフトビニール素材を採用した新機軸。手触りが柔らかく、大きめサイズで展開される。

第1弾:レオパとクレス(レオパードゲッコー&クレステッドゲッコー)
☝️ 遊べる
いきもの大図鑑 指まきコレクション
実用・遊び系

生き物を指に巻きつけて遊べるという、機能を持たせたライン。ツノガエル、アメフクラガエル、バジェットガエル、レオパードゲッコーなど、巻きつけたときにかわいく見える生き物が選ばれている。

展開例:ツノガエルとアメフクラガエルとバジェットガエル / レオパードゲッコーとクレステッドゲッコー02

2026年夏の注目商品

2026年7月第3週発売500円
いきもの大図鑑 かぶとむし11

世界最大級のゾウカブトの一種アクティオンゾウカブトを迫力あるサイズで再現。ケンタウルスオオカブトやオオツノメンガタカブトといった個性豊かな角を持つカブトムシのほか、鮮やかな色彩が魅力のシロヘリミドリツノカナブンなどをラインナップ。夏の風物詩となった「かぶとむし」シリーズも、ついに11弾目。

→ 11弾まで続くということは、それだけカブトムシの種類が世界中に存在し、かつそれを求める人がいるということ。夏のガチャコーナーで最も探されるシリーズのひとつ。
2026年7月発売1,500円
いきもの大図鑑アドバンス 水生昆虫02 ゲンゴロウ

アドバンスラインの最新作。ゲンゴロウという、水中を泳ぐ姿が独特な昆虫を、可動を排した精密造形で再現する。ディスプレイスタンド&止まり木セット版も同時展開されており、飾ることを前提とした設計になっている。

→ 1,500円という価格だが、アドバンスラインのクオリティを知っている人にとっては納得の価格帯。
2026年6月下旬発売1,500円 / 全4種
いきもの大図鑑レプティクス 恐竜

「人気のレプティ恐竜シリーズがサイズアップし、可動箇所も大幅にパワーアップ!レプティのDX進化系 レプティクスが新しく誕生です」ティラノサウルスは全長約140mm。首、脚、顎など全身が可動し、縄張り争いをしたり、捕食したりと、恐竜たちの生き生きとした姿を再現できる

→ デフォルメ×大型×全身可動という、これまでのシリーズにはなかった組み合わせ。恐竜好きの子どもにも大人にも刺さる仕様。
✦ いきもの大図鑑が高い理由 ✦
部位によって、
プラスチックの素材を
変えている。
── 見た目だけでなく、感触や硬さまで再現するために
🔧 500円が「高くない」理由
  • 🧬複数素材の使い分け:硬い外骨格、しなやかな脚、透明な翅——部位ごとに異なるプラスチック素材を使用し、感触と硬さを再現している。
  • 🦿スケール可動:単に関節が動くのではなく、実際の生き物の動きを再現する可動設計。ダンゴムシが丸まる、クワガタの顎が開く、恐竜が捕食姿勢をとる。
  • 🎨彩色の精度:タマムシの構造色、カブトムシの上翅の質感、カエルの模様——生き物ごとの色の出し方を個別に設計している。
  • 🌳付属パーツ:樹皮台座、止まり木、ディスプレイスタンドなど、生き物を「その環境ごと」再現するための付属品が用意されている。

開発現場のリアル——カミキリムシの触角問題

🔧 バンダイ公式ブログより
「カミキリムシの触角は、カプセルトイには長すぎる」

いきもの大図鑑の開発担当者が公式ブログで語っている悩みが、このシリーズの本気度をよく表している。

カプセルに入るサイズ制約と、生き物の正確な再現。この2つを両立させるために、素材選定のレベルで格闘している。しかも「彩色できない素材だからシマシマ模様を入れられなかった」という妥協点まで公式に開示している。

同じブログでは「開発に時間がかかりすぎて今年出せなかった生き物もたくさんあり」とも書かれている。作りたくても作れない生き物がある——それがこのシリーズの難易度を物語っている。

COLUMN / 「6月4日は虫の日です」と言う会社

バンダイの公式ブログには「6月4日は虫の日です」というタイトルの記事が存在する。虫の日に合わせて開発中のアイテムを公開し、その後の進捗まで報告している。ハンミョウの開発報告、ショウリョウバッタの彩色、フトアゴヒゲトカゲの開発報告——読んでいると、企画担当者が本気で虫と生き物が好きなことが伝わってくる。

ガシャポンエキスポやガシャポン文化祭では、猫や狼などの哺乳類、リュウジンオオムカデといった開発中アイテムも展示されているという。いきもの大図鑑はまだまだ広がる。

どこで買えるか

全国のガシャポン設置店舗、ガシャポンバンダイオフィシャルショップ、カプセルトイ専門店で展開。人気シリーズのため、発売週に完売する店舗も多い。ガシャポン公式サイトの「ガシャポンどこ?」機能で在庫状況を確認できるほか、ナムコパークス オンラインストアでも予約・購入が可能だ。

アドバンスやレプティクスなど1,500円帯の商品は「ガシャポンオンライン」での販売が中心になるケースもある。狙っている商品がある場合は、発売前に販売形態を確認しておくのが確実だ。

✦ 1種類の虫から、295点の図鑑へ

「だんごむし」というシリーズ名でスタートしたとき、誰がここまで大きくなると想像しただろうか。丸まるダンゴムシを再現するという一点への執着が、いつのまにか恐竜も爬虫類もカエルも扱う巨大な図鑑になった。

500円という価格には理由がある。素材を使い分け、可動を設計し、彩色を詰め、カプセルに入るサイズを模索する——その全部が入っている。次にガチャコーナーで「いきもの大図鑑」を見かけたら、ぜひ1回回してほしい。手のひらに乗る図鑑の1ページが、そこから出てくる。

📎 参考情報・出典