推し活総研の調査によると、2025年1月時点で推し活人口は約1,384万人。前年より250万人増加し、特に30代前半女性で増加が顕著だったという。推し活総研の別調査では、市場規模は3兆5千億円に達したとも報告されている。これだけの熱量がある市場で、ガチャはどんな役割を担っているのか。
なぜ推し活はガチャと相性がいいのか
「公式グッズ」消費の中で、ガチャは最も入りやすい入口
推し活出費の上位には「公式グッズ」「チケット」「CD」が並ぶ。チケットや遠征費は数千円〜数万円単位だが、ガチャなら300円から推しのグッズを手にできる。ライブに行けない日も、遠征できない週も、ガチャなら近所のショッピングモールで「推しと繋がれる」。これが推し活全体の中でガチャが担っている役割だ。
財務省の経済トレンドレポートでも「販売価格を引き上げる中でも、旺盛な『推し活』需要を背景にグッズ販売は好調に推移」していると分析されている。価格が上がっても需要が落ちない、それだけ推し活消費の底力は強い。
→ 推し活において「安く済む」ことは目的ではない。むしろ「気軽に頻度を増やせる」ことの方が価値になっている。
アイドルだけじゃない。VTuber、アニメ、ゲームキャラまで「推し」になる
財務省のレポートは「推し活の対象は多様化しており、アイドルやミュージシャンといった従来の領域に加え、YouTuberやVTuber、アニメやゲームのキャラクターなど幅広い」と指摘している。応援対象が拡大した背景には、趣味や価値観の細分化がある。
これがガチャ市場にとって重要な意味を持つ。アニメ・ゲームキャラのガチャはもともと存在していたが、それが「推し活」という大きな文化の中に位置づけられたことで、消費の正当性と頻度が一段上がった。「ガチャを回す」ことが「推し活をしている」ことと同義になっている層が確実に存在する。
→ 推しジャンルによって支出額は大きく異なる。アイドルには年間平均約4.8万円、アニメ・漫画には約1万円というデータもあり、ガチャはこの「気軽な方の推し活」を支える存在になっている。
ガチャ側も「推し活」を前提に作っている
「集める」前提のガチャから、「持ち歩く」前提のガチャへ
めじるしアクセサリーのように「持ち歩く」ことを前提にしたガチャの増加は、推し活文化と無関係ではない。推しを身につけて生活する、推しと一緒に出かける——この感覚が、ガチャの設計そのものに影響を与えている。コレクションして飾るだけでなく、日常に連れて行けるアイテムへ。
毎月のように新シリーズが出る頻度の高さも、推し活の「継続して応援したい」という心理と噛み合っている。1回で終わらず、何度も関わり続けられる仕組みがガチャには元々備わっていた。推し活の拡大が、その仕組みの価値を再発見させたとも言える。
→ 推し活総研の調査でも、推し活出費が発生するカテゴリーは「遠征」から「ネイル」まで9カテゴリー全てに広がっている。ガチャもそのうちの一つに数えられる時代になった。
キャラクタービジネス全体の中での位置づけ
キャラクタービジネス全体の市場規模は2兆8,000億円規模に達しているとされ、推し活消費とオタク市場の拡大が背景にある。この巨大な市場の中で、ガチャは決して規模だけを追う存在ではない。「気軽に、頻繁に、好きなものに触れられる」という独自の役割を担っている。
カプセルトイ市場全体が2024年度に約1,410億円、前年度比20%超の成長を見せている背景には、推し活需要の取り込みが間違いなく含まれている。「推しグッズを買う」という行動の選択肢の中に、ガチャという回路がしっかりと組み込まれている。
推し活というと、お金をたくさん使う人の文化だと思われがちだ。でもガチャという入口があることで、推し活の「参加コスト」が下がっている。チケットは買えなくても、グッズは買えなくても、300円のガチャなら回せる。それだけで「今日、推しと繋がった」という実感が得られる。
これは、推し活の民主化と言えるかもしれない。お金をかけられる人だけのものではなく、誰でも自分のペースで関われる形をガチャが提供している。推し活市場の拡大の裏側には、こういう小さな入口の存在があるんじゃないかと思う。
📎 参考情報・出典
- 株式会社CDG「推し活人口は1384万人、市場規模は3兆5千億円に!」
https://www.cdg.co.jp/推し活総研/3725/ - Invest Leaders「推し活の市場規模は3.5兆円!」
https://jioinc.jp/investleaders/oshikatu_toushi/ - 財務省「コラム 経済トレンド137 推し活〜若年層を中心に急成長する消費形態〜」
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/2025011/202511f.pdf - ニュープリネット「オタク市場と推し活消費が拡大、キャラクタービジネス2兆8,000億円規模に」
https://www.newprinet.co.jp/special/ - badge-man.net「カプセルトイの市場規模は?」
https://www.badge-man.net/bmwp/column/capsuletoy-market-col/
