人間は、自分を正当化する天才だと思う。ガチャを前にしたとき、特に。
気づいたらレジャー費の明細に「カプセルトイ代」という謎の項目が増えていた。月3,000円だったのが5,000円になり、気づいたら8,000円になっていた。さすがにこれは「趣味費」という名目では説明がつきにくい金額だ。
そこで人間が編み出すのが、「言い訳の進化」である。ガチャを正当化する言葉は、使えば使うほど洗練されていく。今日はその進化の全記録を残しておきたいと思う。
第一段階から最終到達点まで
誰でも最初はここから始まる。正直で清々しい。ガチャが好き、それだけだ。問題は、これが通用するのが月1,000円くらいまでという事実だ。2,000円を超えたあたりから、人は何かに言い訳が欲しくなり始める。
最初の進化がこれだ。ガチャを「美術品として鑑賞している」という方向に舵を切る。確かに嘘ではない。300〜500円であのクオリティは本当にすごい。でも「勉強になる」という言葉を足した瞬間、出費の意味が変わり始める。
第二段階になると、個人の趣味から「業界理解」へとスケールアップする。「トレンドを把握する」という言葉は強い。どんな職業の人でも「業界研究」という文脈にガチャを置けば、なんとなく正当性が生まれてくる。
この段階で月の出費が1万円前後になっていることが多い。でも「業界研究なら仕方ない」という謎の納得感が生まれているため、本人はあまり苦しくない。
ここまで来ると、言い訳がひとつの思想に昇華される。「研究」という単語を使い始めた瞬間、その人の中でガチャは「消費」ではなく「探求」になる。
研究者には好奇心がある。好奇心には理由がいらない。「なぜ回すのか?」という問いに対して「研究だから」と答えれば、それ以上追及されない。この境地に達した者は、表情も落ち着き、声のトーンも安定し始める。
でも、正直に言うと
言い訳の進化を5段階まとめてみたが、実はこれ、そんなに悪いことじゃないと思っている。
「造形の勉強」と言い始めた瞬間から、ガチャを見る目が少し変わる。パーツの精度、色の出し方、スケール感、パッケージのデザイン——本当に「見てしまう」ようになる。「業界研究」と言い始めると、どのメーカーがどんな傾向にあるか、今のトレンドはどこに向かっているかを自然に考えるようになる。
言い訳が先で、理解が後からついてくることがある。動機が不純でも、結果的に知識が増えることがある。ガチャを「研究」と呼び始めた人は、本当にガチャのことをよく知っている、という逆説的な現象が起きている気がする。
観察していると、言い訳が上手い人ほどガチャへの愛が深い、という法則がある。「ただ好きだから」という素直な気持ちを守るために、外向きの言語を磨いていく——その努力の量が、愛の深さと比例している気がする。
だから「研究費」と呼んでいる人を笑えない。その言葉の裏に、カプセルを開けるたびに高鳴る気持ちが、ちゃんとある。
おまけ:言い訳レベル診断
自分が今どの段階にいるか、一度確認してみてほしい。
「好きだから」と言える人は、まだ健全な段階にいる。「造形の勉強」まで来た人は、そろそろ月の出費を直視した方がいい。「業界研究」まで来た人は、誰かに話を聞いてもらった方がいい——聞いてくれるガチャ好きの友達が必ずいる。「研究費」「経費」まで来た人は、もうこのコラムを読んでいる場合ではなく、研究ノートを書く時間に使うべきだ。
ちなみにこのコラムを書いている編集部員は、現在第三段階と第四段階の間あたりにいます。以上、報告でした。
