ポケモンやサンリオのような「わかる」ガチャがある一方で、ラインナップの中に時々、企画意図がまったく読めない商品が紛れ込んでいる。「ビジネスホテルの朝食バイキング」「和食これくしょん 日本のうなぎ 弐」——こういうタイトルを見つけると、つい立ち止まってしまう。誰が考えたのか。なぜ企画が通ったのか。そして、なぜ自分はそれを今、欲しいと思っているのか。
そういうガチャを集めて、勝手に表彰してみることにした。これは批判ではない。むしろ最大級の敬意のつもりだ。
ノミネート発表
シズル感のある朝食バイキングのミニチュアが、なぜかガチャになっている。スクランブルエッグ、ウインナー、ミニサラダ——出張で泊まったビジネスホテルの朝、あの並びを思い出す人は確実にいる。でも「それをガチャで再現しよう」と思いついた瞬間の企画会議が見たい。
→ ターゲット層は「ビジネスホテルの朝食に謎の郷愁を感じる大人」だと思われるが、その層がどれだけいるのかは誰にもわからない。それでも商品化されている事実が、ガチャ業界の懐の深さを物語っている。
うなぎである。それも「弐」、つまり2作目である。1作目があった、ということがまず驚きで、それが好評だったから2作目が出た、ということがもっと驚きだ。うな重、うな丼、ひつまぶし——うなぎの提供形態だけでシリーズを回せるという事実に、静かに感動する。
→ 「弐」と漢数字で書くセンスも含めて、企画者の本気度が伝わってくる。中途半端な気持ちでは「弐」は名乗れない。
猫がパン屋さんになっている、という発想自体はガチャらしくて理解できる。でも「9456」という型番らしき数字が混じっているタイトルは、何かの暗号にも見えてくる。9456に意味があるのか、それとも単なる商品コードが流出しているだけなのか——気になって眠れない夜が増えた。
→ こういう「謎の英数字が混入したタイトル」のガチャは意外と多い。シリーズ管理上の都合だとは思うが、ロマンがあると思って見ている。
映画館の本編前に必ず流れる、あのカメラ男と覆面男のキャラクターが、まさかめじるしアクセサリーになった。「映画を見るたびに思い出す」という強制的なリマインド機能が標準装備されている、ある意味最強のグッズかもしれない。
→ 著作権啓発キャラクターがグッズ化される時代。誰も予想していなかった方向からの参戦だが、傘につけたら毎回ちょっと笑える。
なぜこういうガチャが生まれるのか、考えてみた
ガチャは毎月、数十タイトルが新発売される。2026年6月2日だけで25タイトル・263アイテムが新発売されたというペースを見ると、誰もが「わかりやすい」企画だけでは枠が埋まらないことがわかる。IPコラボのような鉄板企画と並行して、メーカー各社の企画担当者が「自分が作りたいもの」を形にできる余地がある。それが、意味不明なのに愛されるガチャを生み出している。
これは悪いことではない。むしろガチャ文化の健全さの証だと思う。マーケティングだけで考えたら絶対に生まれないタイトルが、ちゃんと商品化まで進む環境がある。そこには「これ作ったら誰か喜ぶかもしれない」という、企画者個人の純粋な気持ちが詰まっている気がする。
「誰向けかわからない」ガチャほど、実は買う価値があるかもしれない。なぜなら、そのガチャは「売れる確証がないのに作られた」ものだから。市場調査だけでは出てこない企画が通っているということは、誰かの強い思いがそこにある証拠だ。
「ビジネスホテルの朝食バイキング」を回す日が来たら、ぜひ回してほしい。それは企画者の小さな賭けに、あなたが一票を投じる行為でもある。
